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角膜感染症

目次

  1. 角膜感染症

角膜は黒目にあたる部分のことで、厚さ約0.5mmの透明な組織です。人間の目はよくカメラに例えられますが、角膜はカメラのレンズに相当する部分に当たります。外から入ってきた光を、角膜、水晶体という2つのレンズで屈折させ、網膜で像を結び、視神経というケーブルを通して脳へ情報を伝えることで、我々は物を見ることができているのです。

角膜は大きく3つの構造(上皮、実質、内皮)に分類されます。角膜の表面にある上皮は、涙に覆われ、細胞分裂を繰り返しながら早い周期で生まれ変わっており、外界の刺激や病原体に対するバリアとして機能しています。実質は角膜の構造や強度を保つ骨組みとしての役割を、内皮は角膜内の水分量を調節するポンプ機能によって角膜を透明に保つ役割をしています。

 

何かが原因となり角膜上皮に傷ができてしまうと、上皮のバリア機能が低下し、微生物が付着・繁殖しやすくなり、角膜感染症が起こります。

角膜感染症を起こす主な微生物には、細菌、真菌、アカントアメーバ、ヘルペスウイルスなどがあります。ゴミ、砂、枝などによる外傷や、コンタクトレンズ装用に伴う角膜表面の傷、ドライアイ、ステロイド剤の長期使用などは危険因子です。充血や異物感などに加え、角膜が白く濁ってしまう(角膜潰瘍)ことや、重症化すると角膜穿孔を起こしてしまうこともあり注意が必要です。

角膜感染症の治療は原因によって異なり、抗菌剤や抗真菌剤、抗ウイルス剤などを投与する必要があります。重症な場合には、点眼薬だけでなく、内服薬や点滴による治療が必要なこともあります。角膜感染症は放置してしまうと、最悪の場合は失明にも至る病気であり、点眼や処方された薬をしっかりと使っていただくことはもちろん、症状が落ち着くまでの間、治療効果判定のための診察を頻回に行って経過を診ていくことが重要です。

角膜感染症には多くの種類がありますが、外来診療で最近多くみられるようになってきたのがコンタクト装用に伴うトラブルです。コンタクトの長時間使用や、コンタクトを装用したままの睡眠、使い捨てコンタクトの再利用、使用期限を超えたコンタクト使用など、その多くはコンタクトの間違った使用法によるものです。また、病院で処方されたものではなく、インターネットや量販店で購入したコンタクトそのものに問題があったケースも見受けられます。

コンタクトレンズは人工呼吸器や透析器などと同じく高度管理医療機器に分類されます。現在では生活に欠かせないものとして世に出回っていますが、目の中に直接入れるものであり、しっかりとした管理が必要です。定期的な検診はもちろんのこと、充血や、異物感などのサインを見逃さず、重症化してしまう前に予防や治療をしていくことが大切です。

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