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屈折異常

目次

  1. 屈折異常(近視・遠視・乱視など)
  2. 強度近視の方は要注意!?
  3. 強度近視にならないためには?

屈折異常(近視・遠視・乱視など)

人間の眼はよくカメラに例えられます。

眼に入った光は、角膜や水晶体といったレンズを通ることで屈折し、フィルムにあたる網膜に届くことで、脳へと情報が伝わり、物を見ることができるようになっています。

また、カメラの絞りのように光の入る量を調節する虹彩(茶目)や、毛様体と呼ばれる筋肉の力で水晶体の厚みを変化させ、ピントを自由に調節するオートフォーカスのような機能もあります。

ところが、屈折の強さや網膜までの距離に問題があると、ピントが合わずに見えにくい屈折異常と呼ばれる状態となってしまうのです。

学校検診などで既に聞いたことがある方も多いかと思いますが、屈折異常は大きく、近視、遠視、乱視に分類されます。

近視とは?

目に入った光が網膜の手前で焦点が合ってしまう状態です。角膜や水晶体の屈折力が強いことや、眼軸と呼ばれる網膜までの距離が長いことが主な原因です。眼鏡装用(凹レンズ)で、網膜上で像を結ぶように調整できます。

遠視とは?

目に入った光が網膜の後ろで焦点が合ってしまう状態です。角膜や水晶体の屈折力が弱いことや、眼軸と呼ばれる網膜までの距離が短いことが主な原因です。
眼鏡装用(凸レンズ)で、網膜上で像を結ぶように調整できます。

乱視とは?

目に入った光の焦点が眼の中で1点に結ばれず、見たものが重なって見えてしまう状態です。これは眼が完全な球体ではなく、ラグビーボールのような楕円形になることで生じる見え方です。

乱視には眼鏡で矯正できるもの(正乱視)と、矯正できないもの(不正乱視)があります。ただし、不正乱視の中にも、程度によってはハードコンタクトレンズで矯正可能な場合もあり、ご相談させていただく場合があります。

老視(老眼)とは?

手元が見えにくくなってきたと受診される方がいらっしゃいます。その多くが老眼と呼ばれる状態が原因です。私達の眼は、毛様体と呼ばれる筋肉の力で水晶体の厚みを変化させ、ピントを自由に調節していますが、ご年齢を重ねていくことで水晶体が硬くなってくると、ピントを調節する力が徐々に弱まると言われています。

一般的には40歳前後から感じられる方が多く、老眼を治す治療は存在しません。ただし、近用眼鏡(いわゆる老眼鏡)を用いて生活で必要な距離に焦点を合わせることで、見え方の煩わしさを改善できる方がほとんどです。

屈折異常の治療法

屈折異常の多くは、眼鏡やコンタクトレンズを装用することで解決できます。
日々の生活の中で不自由な見え方の状態を続けていると、生活の質が下がるだけでなく、眼精疲労など、辛い症状に繋がってしまう可能性もあります。見え方に不自由さを感じた方は気軽にご相談ください。

強度近視の方は要注意!?

強度近視は眼軸長が極端に伸びてしまった状態です。眼軸長が長くなることで、網膜が引き伸ばされて薄くなり、様々な病気を引き起こす危険性が示唆されています。大事なことは、自分がハイリスクであるということを認識しておき、日常のちょっとした変化を見逃さないことです。

ご年齢を重ねるごとにその頻度は増していくと考えられています。1つの目安として、40歳以上の方は検査を受けていただくことがお勧めです。

網膜剥離

網膜が薄くなることで、網膜周辺部に孔があきやすくなり、そこから眼内の水が侵入してしまうと網膜剥離と呼ばれる状態になります。早い段階で症状に気がつき、レーザー治療や手術を行わなければ、視力が低下したまま改善しない可能性もある怖い疾患です。

黄斑変性・黄斑円孔など

眼球壁の変形に網膜組織がついていけなくなることで生じる変性疾患も、強度近視では起こりやすくなると考えられています。物が歪んで見えたり、視力低下を生じる原因となる黄斑変性や黄斑円孔と呼ばれる疾患です。早い段階で発見し、サプリメントなどによる予防や、注射や手術といった治療を行うことで、視力予後の向上に繋げることができます。

緑内障

近視が強い方は将来的に緑内障になるリスクも高いと考えられています。視神経の構造が脆弱であることが原因と言われ、近視眼では緑内障診断が難しく、普通の方以上に注意しておかなければなりません。

強度近視にならないためには?

近視を進めないためにはどうしたら良いのか?強度近視にならないためにはどうしたら良いのか?こういった疑問は当然湧いてきます。

子供の頃に近視が進行するのは眼軸長が伸びるからだと考えられています。私たち人間は、生まれた時はたいてい遠視(眼軸長が短い)の状態ですが、身体が成長していくにつれて眼軸がだんだんと伸びていき、プロセスが適正に働くことで正視(網膜上に光の焦点が合い、物がはっきりと見える状態)となります。ところが、このプロセスが過剰に働きすぎると強度近視となってしまうのです。

眼軸長を短くする治療があれば良いのですが、残念ながら眼軸長を短くする明らかな治療は存在しません。そのため、近視を治すということは難しく、眼軸長が伸びてしまう前に、進行を止めてあげることが目標となります。

近視進行抑制について詳しく知りたい方はこちら

マイオピンオルソケラトロジー

マイオピン点眼(低濃度アトロピン点眼)

お子様の近視の進行を軽減させることを目的に配合された目薬で、マイオピン点眼は近視の進行を平均して約60%軽減させることがわかっています。

アトロピンという点眼本来の作用により、一時的に瞳孔(黒目)が大きくなり、まぶしく感じることがありますが、この点眼薬に配合されているアトロピンは非常に低濃度のため、不自由さを感じられる方は少ないと言われています。その他、重要な副作用の報告もなく、比較的安心して使用していただけるお薬です。

お子様の視力低下が心配で、近視の進行を少しでも抑えてあげたいと考えられている方にお勧めです。毎日寝る前に1滴ずつ両眼に使用していただく目薬のため、目薬が苦手なお子様でも負担は少ないかと思います。ただし、使用する場合は少なくとも2年間継続していただく事が推奨されていること、自費診療である事をよくご理解していただき、納得して使うようにしてください。

屋外活動(バイオレット光、メラトニン)

最近では太陽光の一部であるバイオレット光が話題となっています。バイオレット光が近視抑制遺伝子を活性化することがわかってきたからです。1日2時間の屋外活動で、近視になる割合を60%→20%まで減らせるのではないかというデータすら出てきている程です。バイオレット光は、窓ガラスや眼鏡のUVカットで遮断されてしまうため、最近になりUVカットレンズが注目を集めてきているのはこのためです。

また、屋外で太陽光を浴びることで、脳の松果体からメラトニンという物質が分泌されることも、近視抑制に関わっているのではないかといわれています。メラトニンは体内時計・睡眠・免疫などに働くことが知られていますが、眼軸長を伸ばす仕組みの発現を抑制する作用があるとも推測されており、「ゲームばかりしていないで外で遊びなさい」という、お母様からよく聞くフレーズは、あながち間違ってはいないようです。

パソコンやスマートフォンが普及し、小さい子供の遊びはYouTubeや携帯ゲームが主流となってきました。多くの情報がすぐに得られる便利な時代ではありますが、近くを長時間見続けることを避けるなど、適切な使用を心掛けなければ、目には大きな負担となってしまいます。

近視の進行には遺伝的な要素だけでなく、生活スタイル(環境的な要因)も大きく関わっています。日々の生活の中で少し意識していただくだけで、進行を抑制できる部分があるかもしれません。

当院では、こういったデータを踏まえ、中学生や高校生、または近視進行がみられる場合には、UVカットをしないレンズを推奨させていただいています。

仮性近視(調節痙攣)

ピントを調節する筋肉の過緊張が近視の原因となっている場合、その緊張を和らげてあげることで視力が改善するケースがあります。筋肉が緊張した状態が続いてしまうと、水晶体というレンズの厚みを薄くすることができず、遠くが見えにくくなってしまうからです。この状態を仮性近視(調節痙攣)と呼びます。偽の近視と考えていただくとわかりやすいかもしれません。

仮性近視は幼児や小学校低学年のお子様に多く、正確な近視量を測定するためには、点眼を使ってピントを調節する力を麻痺させてあげることで、自然体での視力を確認してあげる必要があります。初めての眼鏡を作成する時や、近視の進行が急激な場合、近視進行予防の治療を検討している場合、仮性近視や弱視の診断に大切な検査です。

当院では必要に応じてこういった精密屈折検査を勧めさせていただきます。検査で用いる点眼の種類によっては、眩しさや見えにくさが2日間ほど続いてしまうこともあり、予約制としている検査もありますのでご了承ください。

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