網膜裂孔
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急激な飛蚊症や光視症の出現に注意
網膜には痛覚がなく、目が2つあることで見えにくい目をカバーしてしまうため、網膜に裂孔があいただけでは網膜剥離が進行するまでなかなか症状に気がつけないことも多いです。網膜剥離は、早期に発見することで視力低下を防いだり、レーザー加療のみで手術をせずに治療できてしまう場合があります。急激な飛蚊症の増加や光視症が出現した場合には、網膜裂孔や網膜剥離を疑い、できるだけ早めに眼科を受診することが望ましいです。
網膜裂孔の種類について
網膜裂孔(retinal break)は、網膜の一部が引っ張られることで裂けてしまう状態(網膜裂孔:retinal tear)と、網膜が薄くなることで穴があいてしまう状態(網膜円孔:retinal hole)に大きく分かれます。
※retinal tearとretinal holeを合わせてretinal breakと呼びます。retinal breakは適切な日本語が存在しないため、ここでは網膜裂孔と表記しています。
網膜裂孔(retinal tear)は、後部硝子体剥離が起きる際に硝子体などが原因となって網膜に牽引する力が加わり、網膜が引っ張られて孔があいてしまった状態を指します。例えるなら、網膜に例えたティッシュペーパーを机の上に置いて固定した状態から、指で上につまみあげて孔をあけたようなイメージです。このティッシュを上につまみ上げる原因となってしまうのが、硝子体や増殖膜なのです。引っ張る力が加わり続ければ、あいた孔が広がってしまったり、孔から水が入り込んで裂孔原性網膜剥離と呼ばれる状態に進行する可能性があります。
網膜円孔(retinal hole)は、強度近視などが原因で薄くなってしまった網膜が、変性や萎縮によって孔があいてしまった状態です。例えるなら、網膜に例えたティッシュペーパーを、机の上で横向きに弱い力で少しずつ引っ張り、だんだんとティッシュが薄くなってちぎれてしまったイメージが近いかと思います。この場合、網膜裂孔(retinal tear)のきっかけとなったティッシュを上につまみ上げる力はほとんどありません。そのため、同じ網膜の孔ではありますが、網膜裂孔(retinal tear)よりは網膜剥離へ進行しにくく、仮に網膜剥離が起きてしまった場合も丈の低い剥離で済むことが多いです。
その他、外傷やスポーツによる打撲でも網膜裂孔が生じることもあります。目を直接ぶつけてしまったり、頭に強い衝撃が加わることで硝子体が揺さぶられ、網膜に力が加わって破れるためです。外傷後、見え方に変化が生じている場合はすぐに眼科を受診するようにしてください。